自殺者の行方

大勢で一斉に狙撃をすれば

誰が致命傷を与えたかわからなくなる


罪の希釈がさらなる罪なのに

最期まで至らしめた事に気づかない


教室に入り席に着くまでの間でも

修辞技法の限りを尽くした言語殴打


私の内燃機関名「精神」が

千切れながら血を噴き出す


見ないふりの学舎では

私はただの忌み枝として扱われる


誰も居ない用具倉庫で首に縄が食い込む

薄れゆく意識の中で私はある幻影を見た


・・・

・・・・・・


老兵めいた軌条を屋根に使う

内耳が冷たくなるほどの寂れた静脈物流の駅


ホームには透明な長針と無色の短針

迎えに来る青ざめた貨物列車には腐った肉塊


精神が消え去ると人は形を失う

私も終点までにはただの物体となるのだろう


悲鳴の警笛が鳴り続けるが

明けない夜に吸い込まれて誰にも届かない


私に付けられた荷票

それは人として扱われなくなる証


自ら時を止めてしまった者は

向こう側に想い出を連れては行けない


河に架かる鉄橋では

さまざまな音が折り重なる



雑踏の失笑

教室の罵詈

四面の恫喝

山羊の慟哭

鯨幕の侮蔑



緞帳芝居の終演

勿論拍手など無い


此岸で飛び降りたら

まだ蛍光灯がちらつく部屋に戻れたのか


譫妄貨車が走る闇は

心を壊した私から全ての感覚を毟り取る


魂が蒸発し形を失った私は

終点で永劫の穴に捨てられる


いつまでも底に着かない闇の中で

上下もわからなくなる程の無限墜落


命数法で表せないほどに落ち続ける間

者ではなく物になった私へ再び死ぬほどの汚言が浴びせられる


「死ななければ良かった」

激しい生への後悔こそ本当の地獄


街も国もクラスメイトも

ありふれた時間の波に縊死少年を忘れていった


今日も警笛が鳴っていたが

誰の元にも届かなかった

せつなさのしくみ

好きな事や気になった事をブログに書いています。

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