読書の喜びを銀河鉄道が再び教えてくれる。

今月は図書館で本をいろいろ借りていますが、久しぶりに宮沢賢治「銀河鉄道の夜」を読みました。何だかYouTubeには岸田今日子さんをはじめいろいろな人の朗読がUPされていますが、やはり文字を目で取り込みながら自分で音読するのが一番ですね。物語が体にじっくり入ってきます。


朗読だと流れてしまう様々な言葉も、例えば「天蚕絨(びろうど)」のように、音の響きと一緒に文字を見ると、手触りがふわっと頭に浮かんでくるので、本ってやっぱり良いなと思うんです。これが出てくる鉄道内の描写「青い天蚕絨を張った腰掛け、鼠いろのワニスを塗った壁、真鍮の大きなぼたん」が今でも綺麗で大好きです。


様々な色彩や質感の表現、植物や鉱物、星座の名前など魅力的なワードが散りばめられ、キラキラしているだけではなく常に寂しさが漂っているこの雰囲気が本当に素敵です。


これを読んでいて思い出したのですが、小さい頃に親の故郷の秋田へ向かう途中、雪で全てが等しく真白になった引き込み線のような広い場所に、赤いラッセル車が独り佇んでいたんです。その光景が今でも忘れられません。白い兎の赤い目のような、白い包帯に滲んだ赤い血のような、吹きすさぶ中で立ち尽くすその姿は淋しそうだけれど気高くて、時が経った今でも私の中でひとつの「美しさ」の形となっています。


本を読むと様々な思い出が浮かび上がってきます。物語の内容だけでなく、表紙の装丁や紙の色合い、指ざわりやフォントなど、たくさんの情報と結びついてよりしっかりと記憶に残るので本の力ってやはりすごいですね。そんな事は誰もが知っている事でしょうけど、何だか最近それを疎かにしていた部分があったので、もっといろいろな本を借りて新しいものを取り入れたいと思います。

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